初めての転職の場合、「転職の仕方が全くわからない…」という人は少なくありません。実際に転職するときには必要になる手続きも多く、なんとなく「難しそう」というイメージがありますよね。

しかし、転職活動に必要になる準備の一つ一つは決して難しいものではありません。それらの全体像をしっかり理解しておくことで、スムーズに転職しやすくなりますよ。

そこで今回は、転職の全体の流れや、転職に必要な手続きなどについて説明していきます。記事の後半では、転職を成功させている先輩の「実体験」をもとにした有利な転職のコツも紹介しますので、転職のやり方がわからず不安を抱いている人はぜひ参考にしてくださいね。

転職の大まかな流れ

まずは、転職活動の大まかな流れを知っておきましょう。とくに転職活動が初めてという人は、どんな流れで転職活動を進めていくべきなのかをよく理解しておく必要があります。

なぜなら、流れを知っている人と知らない人とでは、次のアクションに大きな差がつくからです。

例えば「求人を探す→応募書類の作成→面接」という流れをしっかり理解している人は、「求人を探す」段階で「面接試験に役立つような情報も集めておこう」という意識を持つことができますよね。一方、流れを理解していない人はそれぞれの行動につながりがないため、とても非効率な転職になってしまいます。

行き当たりばったりで転職活動を進めても、納得のいくゴールにはたどり着けませんよ。基本的な部分なのでしっかり押さえておいてくださいね。

転職の大まかな流れ

転職の大まかな流れは次のようになっています。ここではすべての項目についての詳細は説明しませんが、大まかな「全体像」をイメージしてくださいね。

<転職の大まかな流れ>
1.思考の整理・目的の再確認
2.求人を探す
3.応募書類の作成・提出
4.面接試験
5.内定、条件確認
6.現職場に退職の意思を伝える
7.引き継ぎを完了し、新しい職場へ

これを見るとわかるように、転職活動でやることは「求人を探して、面接を受けて終了」というだけではありません。

求人を探す前には、「自己分析」や「転職の目的を考える」というように自分の考えを整理する時間が必要ですし、無事に内定をもらえた後でも「退職の手続き」や「引き継ぎ」なども退職日までに終わらせる必要がありますね。

そのため、仕事を続けながら転職活動を行う場合、転職にかかる期間はざっくり「3~6ヶ月」と考えておくと良いですよ。

「◯月くらいに転職をしたい」というおおよその退職時期を決めたら、そこから逆算するイメージでどんな準備をすべきかを考えていってくださいね。

転職に必要な手続きまとめ!実は転職は手続きが多い

転職の大まかな流れがわかったところで、会社の退職に関わる「手続き面」についても確認しておきましょう。

なぜこの部分に触れるのかというと、退職する会社・新しく入社する会社それぞれでやるべき手続きは多く、この点を理解しておかないと思わぬ失敗を招くことがあるからです。

とくに退職する会社での手続きに漏れがあると、「実は◯◯の書類が必要で…」と退職した会社に連絡をしなければならなくなってしまうという事態もありえます。これは絶対に避けたいですよね。

そうならないためにも、転職時に必要な手続きをしっかり把握しておきましょう。

<転職時に必要な3つの手続き>
・退職時に会社へ返却するもの
・退職時に会社から受け取るもの
・新しい転職先に提出するもの

上記のように、転職時に必要な手続きは3つに分かれます。

転職活動では色々とやらなければいけないことが多いですが、これらの手続きについても確実に押さえておきましょう。

それでは、一つずつ分けて確認していきます。

退職時に会社へ返却するもの

会社を退職するとき、その会社から貸与されているものについては返却しなければいけませんよね。
会社へ返却が必要になるものには、次のようなものが挙げられます。

<退職時に会社へ返却するもの>
・身分証明書(社員証)
・名刺
・健康保険被保険者証
・会社の文具・備品・PCなど

基本的には「会社から借りていたものは全て返却する」と考えておきましょう。
この中で、意外と時間がかかってしまうのが「パソコン内のデータ整理」です。

会社で使っているパソコンには、取引先のリストや社内の非公開情報が入っていたりと、会社にとって重要なデータが残っている場合も多いですよね。単純に「全て消去すればOK」というわけにはいかず、次の人がそのデータを扱えるように適切な場所に移しておく必要があります。

「データの整理なんて一度もやったことがない…」という人もいるのではないでしょうか?そんな人はとくに時間がかかってしまいますので、早めに準備を進めておきましょう。

退職時に会社から受け取るもの

会社に返却するものとは別に「会社から受け取るもの」もあります。具体的には次のような書類です。

<退職時に会社から受け取るもの>
・離職票
・雇用保険被保険者証
・源泉徴収票
・年金手帳

これらの書類は、転職先での入社手続きや、税金関係の手続きで今後必要になるものです。

いずれもないととても困る大切な書類なので、会社側に任せっきりではなくご自身でもしっかり確認しておきましょう。

新しい転職先に提出するもの

退職する会社の手続きが終われば、次は転職先での手続きが必要ですね。
提出の必要がある書類はそれぞれの会社によっても異なりますが、以下の3つについてはほとんどの会社で提出が求められます。

<新しい転職先に提出するもの>
・雇用保険被保険者証
・源泉徴収票
・年金手帳

前会社から受け取った書類を、新しい会社へ提出するというイメージです。つまり、退職時にしっかり手続きができていなければ、転職先での手続き時に困ってしまうことになりますね。

それ以外にも「健康診断書」や「入社承諾書」といった書類も必要になる場合が多いです。
以上のように、「実は転職時に必要な手続きは多い」という点を頭に入れておいてくださいね。

転職の仕方がわからない人が陥りがちな3つの注意点

「実は転職時の手続きは多い」という部分以外にも、転職時に気をつけておかなければいけないことはありますよ。

とくに転職が初めてで「転職の仕方がよくわからない」という人は、同じようなポイントで失敗をおかし後悔しているケースが少なくありません。

それを防ぐためにも、ここでは転職に慣れていない人がやりがちな「失敗例」を3つ紹介していきますね。

注意点

<転職の仕方がわからない人が陥りがちな3つの注意点>
①次の転職先が決まる前に退職してしまう
②職場内の人に転職のことを言ってしまう
③表面的な情報だけで転職先を選んでしまう

この3つを押さえておかないと、後々に大きな後悔につながってしまうことも。

もちろん、事前の準備と意識次第で防ぐことが可能なポイントなので、一つずつご説明していきますね。

①次の転職先が決まる前に退職してしまう

一つ目の例として、「次の転職先が決まっていない状況で退職してしまう」ということが挙げられます。

基本的には、次の会社が決まってから辞めるのがおすすめです。

なぜなら、先に辞めてしまうと「お金」と「気持ち」の面で追い込まれてしまい、焦って転職先を決めてしまうことにつながるからです。

会社を退職すれば、当然お給料も止まってしまいます。とくに20代の場合は退職金もあまり期待はできませんよね。

また、「失業手当」をあてにしている人もいるかもしれませんが、失業手当がもらえるまでに「3ヶ月間の待機期間」があるため、実際に支給されるのは4ヶ月目以降となってしまうことに注意しましょう。

このような状況が「生活のために早く次を決めないと!」という焦りを生み出し、たとえ納得していない会社であっても「もうここでいいや」と安易に決めてしまうのです。

せっかく現状を変えようと思って転職しても、こうなってしまっては転職の意味がありませんよね。

精神的に余裕を持って転職を行うためにも、可能なかぎり「次の会社が決まってから退職する」ことに注意して転職活動を進めてくださいね。

②職場内の人に転職のことを言ってしまう

転職活動をしている時、そのことを職場内の人に漏らしてしまうも、転職に慣れていない人にありがちな失敗例です。

基本的に、上司は「あなたがこの先も会社で働き続ける」という前提であなたに仕事を与えています。

それが半年後、1年後に転職する予定だとわかれば、「退職されても問題ない仕事」だけを与えられることになってしまいますよ。

また、転職を考えていることが広まれば、同じ部署の人とも気まずくなってしまいますよね。そういった状況になれば、たとえ転職するまでの半年間だとしても、その会社に居づらくなってしまうのは間違いありません。

とくに仲の良い同僚などには「うっかり」話してしまうことも考えられますが…転職活動自体が長期化してしまうことも珍しくないので、ギリギリまで周りには伏せておくことを強くおすすめします。

③表面的な情報だけで転職先を選んでしまう

転職先が出す「表面的な情報」だけで転職先を決めてしまうことも、大きな後悔になりかねない失敗例です。

「表面的な情報」とは、たとえば会社ホームページやパンフレット、求人票などに書かれている情報のことですね。

会社の立場になって考えてみましょう。

会社のホームページや求人票に、わざわざ会社の「マイナスポイント」になるような内容を載せるでしょうか…?

つまり、会社のホームページや求人票だけで情報収集を行っていても、その会社に「悪い面」があったとしても絶対に見つけることはできません。

なので、実際に入社をする前に「会社見学」や「社員訪問」などをお願いして、会社の「内情」をリサーチしておくことが大切ですよ。

【実体験】転職の先輩から聞く!有利な転職のコツ

ここまで、転職の流れや注意点を中心に説明してきました。ここまでの内容は、どちらかというと「転職で失敗しないため」に大切なポイントです。

これに加えて「転職を有利に進めるコツ」を知っておけば、転職を成功させる確率をさらに上げることができるでしょう。そこで、転職を成功させている先輩の「実体験」をもとにした「転職を有利に進めるためのコツ」を3つ紹介していきます。

<有利な転職の3つコツ>
①応募する企業は「1社だけ」に絞らないこと
②企業研究は「同業他社」が大切
③自己分析と企業探しは「バランスよく」行うこと

転職を成功させている先輩の多くは、これらのポイントをクリアした上で転職活動を進めています。

実は転職では多くの人がやってしまっている「勘違い」もあり、そこを避けないと転職をスムーズに進めていくことはできませんよ。

それでは、一つずつ説明していきますね。

①応募する企業は「1社だけ」に絞らないこと

転職を有利に進める上でとても大切な点が、「応募する企業は1社だけに絞らない」ということです。

転職を始める多くの人は、希望の会社を見つけたら「その会社だけ」を受けようとします。

そうすると、自分にとって一番最初の面接が「本命の会社」での面接ということになってしまいますよね。

どんなに面接に自信を持っている人でも、一番初めの面接からうまくこなせる人はほとんどいません。

つまり、自分の実力を100%出しきれない可能性が高い最初の面接に、本命の会社を持ってくるのはベストな方法とはいえませんよね。

なので、本当に入りたい会社が1社しか見つからなかったとしても、そこだけに絞って活動するのは失敗のもとです。

複数の会社で進めていって、「たとえこの会社がダメでも他があるから大丈夫」くらいの余裕があるほうが、面接では自分の力を発揮できますよ。

②企業研究は「同業他社」が大切

転職活動で企業研究を行うことは当たり前ですが、大切なのはその会社の「同業他社」や「ライバル会社」についてもよく調べておくこと。

「同業他社」とは、同じ業界に属する、別の会社のことです。たとえば自分が受ける会社が「車部品のメーカー」だとしたら、その会社と同じような事業を行っている会社も必ずチェックしておきましょう。

なぜ同業他社を調べることが大切かというと、自分が応募する会社だけを研究しても、その会社の強みを明確にすることができないからです。

同じ業界内の、一見似たような会社を調べて比較することで「他の会社にはない、その会社ならではの強み」を見つけ出すことにつながりますよ。

「同業他社を知っているかどうか?」は面接でも聞かれやすい部分ですので、この点も必ず押さえておいてくださいね。

③自己分析と企業探しは「バランスよく」行うこと

転職活動において「自己分析」と「企業探し」はどちらも欠かせませんが、それらをバランスよく進めていくことをとくに意識しましょう。

自己分析が大事だからといって、いつまでも過去の振り返りばかりやっていても転職は進みません。

反対に、求人を探すことばかりにとらわれても、自己分析がおろそかになっていれば面接で苦労することになりますよ。

イメージとしては、自己分析と企業探しは「同時並行」で進めていくようにしましょう。

まずは自己分析を行い、自分の強みや興味のある分野について考えていきますが、それが完璧に終わらなくても「求人探し」をはじめてしまってOKです。

実際にさまざまな求人を見ることで生まれてくる「これは良さそう」「これは興味ない」といった感情が、結果的には深い自己分析につながっていきますよ。

こういったやり方のほうが、転職活動にかかる期間も短くすることができます。「早く今の会社から転職したい!」という人ほど、効率的に進めていくことを意識していきましょうね。

まとめ

本記事のポイントのまとめです。

  • まずは、転職活動の大まかな流れを知っておくことが大切です。なぜなら、流れを知っている人と知らない人とでは「次のアクション」に大きな差がつくからです。
  • 転職にかかる期間はざっくり「3~6ヶ月」と考えておきましょう。おおよその退職時期を決めたら、そこから逆算するイメージで準備を進めていきます。
  • 転職時に必要な手続きは3つです。「退職時に会社へ返却するもの」「退職時に会社から受け取るもの」「新しい転職先に提出するもの」
  • 転職の仕方がわからない人が陥りがちな注意点は3つです。「次の転職先が決まる前に退職してしまう」「職場内の人に転職のことを言ってしまう」「表面的な情報だけで転職先を選んでしまう」
  • 転職を有利に進めるコツは3つです。「応募する企業は1社に絞らないこと」「企業研究は同業他社が大切」「自己分析と企業探しはバランスよく行うこと」

今回は、転職のやり方がわからないという人に向けて、転職の大まかな流れや必要となる手続きについて説明してきました。

もしかしたら、この記事を読んで「思っていたより転職活動に必要な準備が多い…」と感じたかもしれませんね。

たしかに転職にはやらなくてはいけないことが多々ありますが、だからこそ流れを理解しておくことが大切になります。

今後転職を考えている人は、まずは「いつぐらいに転職を目指すか」という部分から一つずつ計画を立てていきましょう。