
一般的に、転職活動は在職中におこなうほうがリスクは低いとされています。
しかし、人によっては「ブラック企業で働いている」など、仕事を続けながら転職することが難しい状況にいる方もいると思います。
その場合は会社を辞めてから転職を始めることになりますが、「本当に先に辞めてしまっていいのだろうか…」と不安に感じてしまう方も多いでしょう。
そこで今回は、退職後の転職活動にはどんなリスクがあるのか、そのリスクを回避するにはどんな方法があるのかをご紹介していきますよ。
先に会社を辞めてしまうことに対して不安を抱いている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
辞めてからの転職活動はリスクがある
会社を辞めてからの転職活動にはリスクが伴います。このリスク面について、まずは確認しておきましょう。
なぜ最初にリスクを確認しておくのかというと、どんなリスクがあるのかが分からなければ、その後の対策が立てられないからです。
リスクの内容をあらかじめ理解し、それを防ぐために適切に準備をしていくことが大切ですよ。
辞めてから転職活動をするときの代表的なリスクには、次の3つが挙げられます。
・収入が途切れる
・転職先が決まらずブランク期間ができる
・自己管理が甘いと自堕落な生活になる
この3点は誰もが陥ってしまう可能性のあるリスクなので、十分に気をつけていきましょう。
それでは、一つずつ分けてご説明していきますね。
収入が途切れる
会社を辞めてから転職するときの一番のリスクが収入面です。
仕事を続けながらの転職活動なら問題ありませんが、退職後に転職を始める場合、収入は完全にストップしてしまいますよね。
このときにある程度の貯金が準備できていなければ、「生活費を稼ぐために転職活動を一時中断」というケースも最悪考えられますよ。
また、国から支給される「失業手当」に関しても注意が必要です。
これは退職後すぐにもらえるものではなく、最初は3ヶ月間の待機期間があるため、実際に支給されるのは4ヶ月目以降であることを見落としてしまう人も…。
心に余裕をもって転職をするためには、このような収入面のリスクをどう抑えていくかが重要になりますよ。
転職先が決まらずブランク期間ができる
転職活動を始めても、転職先がすぐに決まるとは限りませんよね。
とくに転職活動になれない最初のうちは、「面接がなかなか通らない…」ということも珍しくありません。
このように転職先が決まらない状況が長引くと、退職してから次の会社に入社するまでのブランク期間も比例して長くなってしまいますよね。
離職期間が長くなることで、焦りも生まれやすいでしょう。
また、ブランク期間があまりに長いと、その期間について聞かれた際に「転職活動をやっていた」という回答だけでは面接官が納得しないケースも出てきます。
転職にかかる期間は人それぞれですが、退職後の転職なら「3ヶ月以内」を目標に進めていくのがおすすめですよ。
自己管理が甘いと自堕落な生活になる
会社を辞めてからの転職は時間的余裕が生まれることがメリットですが、それが逆にデメリットになってしまうこともあります。
たとえば、会社を辞めると出勤のために朝早く起きる必要がなくなりますよね。
そして夜寝る時間も日に日に遅くなっていき、結果的に生活リズムを大きく崩してしまう人も少なくないのです。
「会社に通う」という行為は、ある意味生活リズムを強制的に整えてくれていたとも考えられますよ。
そして自堕落な生活に陥ってしまうと、最終的には「転職に対する意識」まで薄れてしまうことも…。
「自己管理が甘い性格」の人は、とくに注意しなければいけないポイントですよ。
在職中に転職活動か退職後か、どちらが自分に適しているかをチェック
ここまで「会社を辞めてから転職するリスク」について見てきましたが、一方で退職後の転職にはメリットもありますよ。
つまり、すべての人が「在職中に転職活動をするべき」という訳ではなく、自分にとって最適なほうを選ぶことが重要になります。
そこで、ご自身が「在職中 or 退職後」のどちらが適しているのか、この場でチェックしてみましょう。
それぞれの向いている人・向いていない人を以下の表にまとめましたので、ご自身の性格や仕事の状況を踏まえて考えてみてくださいね。
在職中の転職活動が向いている人 |
退職後の転職活動が向いている人 |
・転職活動が長期化しても問題ない ・職歴にブランク期間をつくりたくない ・転職活動の状況次第では、現職にとどまることも考えている |
・転職活動だけに100%専念したい ・できるだけ短期間で転職活動を終わらせたい ・スキルアップのために、資格取得などにもチャレンジしたい |
在職中の転職活動が向いていない人 | 退職後の転職活動が向いていない人 |
・複数の物事を同時に進めるのが苦手 ・仕事が忙しすぎて、まともに転職活動ができる状態ではない ・セクハラ・パワハラなどにより、ひどいストレスを抱えている |
・貯金が少ない(生活費の3ヶ月分以下) ・仕事に就いていないと人一倍焦る、不安になる ・自己管理が甘い |
結論、ご自身に合った転職活動方法が重要
上記のとおり、在職中の転職のほうがメリットの大きい人もいれば、退職後のほうがメリットの大きい人もいますよ。
結論としては、「ご自身に合った転職の方法を選ぶのが大切」ということです。
もちろんリスクをできるだけ抑えたいのであれば、在職中の転職のほうがリスクは少ないでしょう。
しかし、職場環境に問題があって「転職活動なんてできそうもない…」といった状況なら、無理に仕事を続けることは逆効果ですよ。
その場合は、リスクを受け入れた上でまずは退職してしまうほうが、良い結果に結びやすいことも多いのです。
こういった問題は一般論ではなく、「自分にとってどうなのか?」という点を第一優先で考えてくださいね。
辞めてからゆっくり転職活動するために準備すること
「辞めてからの転職活動が向いている」と判断できた方は、それに向けて準備を進めていく必要があります。
しかし、「辞めてからの転職にはリスクがある」という点はすでにご説明した通りです。
それらのリスクを抑えるためには、「事前準備をどれだけ入念にできたか?」が大きく影響してきますよ。
そこで、実際にどんな準備をしておくべきなのかを確認しておきましょう。ここでは、準備しておくべき3つのことをご紹介します。
<辞めてからの転職活動に向けて準備しておくこと>
・生活費3ヶ月分以上の貯金をしておく
・やってきた仕事の棚卸しをおこなう
・求人探しは在職中からやっておく
準備に時間のかかるものもありますので、早めに手をつけていくことが大切ですよ。
それでは、一つずつ詳しくご説明していきます。
生活費3ヶ月分以上の貯金をしておく
辞めてからの転職活動では、収入が途切れてしまうリスクがあることを先ほどご説明しましたね。
生活費だけでなく、面接時の交通費やスーツのクリーニング代など、転職活動中は色々とお金がかかる場面が多いことにも気をつけなければいけません。
この対策としては、やはり十分な貯金をしておくことがとても大切ですよ。
貯金額の目安としては、最低限「3〜4ヶ月分の生活費」はまかなえるように貯金しておくと良いでしょう。
お金を短期間で貯めることは難しいので、早いうちからコツコツ準備を進めるようにしてくださいね。
やってきた仕事の棚卸しをおこなう
転職の面接では、前職での仕事内容に関する質問は必ず聞かれると考えておきましょう。
そのときに具体的な回答ができるように、自分がやってきた仕事の棚卸しをやっておきましょう。
具体的には、
- どんな仕事を担当してきたのか
- 担当した仕事のなかで、自分なりに工夫した点はなにか
- その結果、どんな実績をあげることができたのか
このようなポイントについて、具体的な数字をもって答えられるようにしておくことが大切ですよ。
退職して職場を離れてからでは細かい数字は忘れてしまうことも多いので、仕事を辞める前におさらいして、記録しておくようにしてくださいね。
求人探しは在職中からやっておく
辞めてから転職活動する予定でも、在職中から早めに求人を探しておくのがおすすめです。
なぜなら、求人を「在職中から探していた人」と「退職後に初めて探し始める人」では、実際に応募するまでのスピードに差が出てくるからです。
- 求人を在職中から探していた人 → 退職時点で、すでに求人の傾向がある程度わかっているため、応募までに時間がかからない。
- 求人を退職後に初めて探し始める人 → 「今はどんな求人が多いのか」「求人のどこを見れば良いのか」などを調べるところからスタートするため、時間がかかる。
このように、動き出しまでの時間に差が出てしまいますよ。
退職前に応募までおこなう必要はありませんので、求人を探すこと自体は在職中からやっておくと良いでしょう。
辞めてからの転職の注意点
退職後、実際に転職活動を始めたときに何に気をつければ良いのかも押さえておきましょう。
会社を辞めてから転職する人が見落としがちな手続きがありますよ。
また、会社を辞めた人が陥りやすい「落とし穴」もありますので、その点も併せて確認しておきましょう。
ここでは、辞めてから転職する際の注意点を5つご紹介していきますね。
・失業保険(失業給付)の申請手続き
・国民健康保険への切り替え手続き
・国民年金への切り替え手続き
・焦って転職先を決めない
・生活リズムを崩さない
とくに手続き面を見落としてしまうと、失業保険がもらえなかったり、病院の医療費が全額自費になってしまう可能性もありますよ。
ただでさえ退職後の転職には収入面のリスクがありますので、十分に注意してくださいね。
それでは、一つずつ分けてご説明していきます。
失業保険(失業給付)の申請手続き
退職後、まずは失業保険(失業給付)の申請手続きを確実におこなっておきましょう。
失業給付金は退職したら自動的にもらえるものではありません。受給には、ハローワークでの申請手続きが必要ですよ。
失業保険の申請手続きの際には、次の2つの書類が必要になります。
・雇用保険被保険者離職票(1)、(2)
・雇用保険被保険者証
「雇用保険被保険者離職票(1)、(2)」は、退職後に会社から郵送される書類です。
退職日の翌日から10日以内に会社側が手続きをしなければいけないと決められており、自宅に届くのは退職日から2週間前後が多いようです。
それを過ぎても送られてこない場合は、会社に連絡して請求しましょう。
「雇用保険被保険者証」については、入社当時に会社からもらって自宅で保管している場合と、退職日に会社からもらう場合の2つのパターンがありますよ。
これら2つの書類が揃ったら、お近くのハローワークで手続きをおこなってくださいね。
国民健康保険への切り替え手続き
会社を辞めてから次の会社に入社するまでにブランクが生じる場合には、一度国民健康保険への切り替えが必要になります。
切り替えは、お住いの市区町村の役場窓口でおこないます。なお、退職日の翌日から14日以内に手続きしなければいけません。
その際に、社会保険団体などから発行される「資格喪失証明書」が必要ですよ。
資格喪失証明書も会社側が発行手続きをおこなうのが一般的ですが、受け取り方法や受け取り時期などについて、退職日までにしっかりと確認しておくようにしましょう。
国民年金への切り替え手続き
国民健康保険と同様に、国民年金への切り替えも必要です。
手続きはお住いの市区町村役場の国民年金窓口でおこないます。こちらも、退職日の翌日から14日以内に手続きすることが決められていますよ。
手続きの際には、退職日を証明できる書類(離職票や退職証明書など)が必要です。
将来の年金受給にかかわる大切な部分なので、こちらも忘れずに手続きするようにしてくださいね。
焦って転職先を決めない
仕事を辞めてからの転職は、在職中の転職と比べて不安になりやすい場面が多いです。
何社か不採用が続いてしまうと、「このままどこにも決まらなかったらどうしよう…」と焦りが生まれるタイミングもあるでしょう。
しかしそんなときこそ、焦って転職先を決めてしまわないように気をつけましょう。
せっかく大きな決断をして転職に動き出したのに、そこでまた納得していない会社に入社してしまったら意味がないですよね。
「転職はすぐには決まらないもの」「何社かは面接で落ちてしまうのは当たり前」こういった意識を持っておくことも焦らないためには大切ですよ。
生活リズムを崩さない
冒頭のリスクの部分でお話ししたように、自己管理が甘いと自堕落な生活になりがちです。
そのため、生活リズムを崩さないように、なるべく在職中と同じような生活リズムで行動するのがおすすめです。
何も予定がないからといって、お昼頃まで寝ていてはいけませんよ。とくに予定がなくても、朝早く起きてやるべきことをやりましょう。
求人探しや会社研究、そのほか自己PRの内容をブラッシュアップしたりと、転職時にやるべきことはいくらでもありますよ。
できるだけ短期間で転職先が決められるように、自分で自分を律する意識を持っていきましょう。
リスクを避けたいなら転職エージェントの活用が無難
ここまで、会社を辞めてから転職する際の注意点を5つご紹介してきました。
手続き関連は忘れないうちに済ませてしまえば問題ありませんが、「焦って転職先を決めない」「生活リズムを崩さない」などは自分一人では難しい場合もあるでしょう。
こういったリスクを確実に避けたいなら、転職エージェントの活用がおすすめですよ。
転職エージェントはご自身に担当のアドバイザーがつき、応募書類の作成から面接対策まで手取り足取り教えてくれます。
転職中不安に襲われることがあっても、「転職のプロにいつでも相談できる」というのは心強いですよね。
転職エージェントのなかでも、おすすめの一つが「マイナビエージェント」。
マイナビエージェントでは各業界に精通した「キャリアアドバイザー」が在籍していて、自分の希望業界にマッチした有益な情報が集まりやすいメリットがあります。
もちろん無料で利用可能です。活用できるものは上手に活用して、転職のリスクを少しでも減らしていってくださいね。
まとめ
本記事のポイントのまとめです。
- 辞めてから転職するときのリスクは3つです。「収入が途切れる」「ブランク期間ができる」「自堕落な生活になる」
- 辞めてからの転職に向けて準備しておくことは3つです。「貯金」「仕事の棚卸し」「在職中から求人探し」
- 辞めてから転職するときの注意点は5つです。「失業保険の手続き」「国民健康保険の手続き」「国民年金の手続き」「焦って転職先を決めない」「生活リズムを崩さない」
会社を辞めてからの転職には不安な点も多いと思いますが、先を見据えた準備ができればリスクを抑えることが可能ですよ。
最後にご紹介した転職エージェントも活用しながら、早めに準備を進めていってくださいね。