
転職を思い立ったとき、迷ってしまうのが「在職中」に転職を始めるか、それとも「退職後」に転職を始めるべきか、というポイントですよね。
在職中に転職ができればリスクが少ないイメージがありますが、「本当に仕事を続けながら転職活動ってできるの?」と不安に思う方も多いと思います。
そこで今回は、在職中・退職後に転職活動をおこなうメリット・デメリットについて、それぞれ詳しく解説していきます。
記事後半では在職中に転職活動する流れや手順もご説明していきますよ。仕事を続けながらの転職に不安を抱えている方は参考にしてくださいね。
転職活動は「在職中」または「退職後」の2パターン
転職活動は、大きく「在職中」または「退職後」の2パターンがありますよね。
どちらの方法を取るかは人それぞれ違います。身近に転職した人の例を見ても色々なパターンがありますので、どっちが良いのか迷ってしまう人もいるでしょう。
ここで大切なのは、「在職中に転職すること」「退職後に転職すること」それぞれの良い面・悪い面をしっかりと理解することですよ。
どちらが正解というものではありません。最終的には、ご自身の状況に合ったほうを選択してくださいね。
その判断が自信を持ってできるように、ここからは上記2パターンのメリット・デメリットを詳しくご説明していきますね。
在職中に転職活動をするメリット・デメリット
まずは在職中に転職活動をおこなうメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリットの部分については、以下のような内容が挙げられます。
<在職中に転職活動をするメリット>
・収入が途切れないため、経済的な不安がない
・腰を据えて、納得のいくまで転職活動を続けられる
・職歴にブランク期間が生じない
・転職先が決まってから退職を伝えることで、引き止められにくい
・転職がうまくいかなかった場合も、現職にとどまることができる
在職中に転職活動をおこなう最大のメリットは、「精神的な余裕」があること。
仕事を続けながら転職を進めれば収入が途切れないため、お金の心配をする必要がありませんよね。
実際に転職活動を始めてみて「良い会社が見つからなかった…」という状況に陥っても、現職にとどまる選択肢も残されています。
このように、「自分が納得いくまで腰を据えて転職活動を続けられる」というのは非常に大きなメリットだと考えられますよ。
一方、在職中に転職活動をするデメリットには以下のようなものが挙げられます。
<在職中に転職活動をするデメリット>
・面接日の調整が大変
・仕事が忙しいと、履歴書作成や面接対策などの準備時間が十分に取れない
・同時に何社も受けることができず、転職活動が長引きやすい
・退職時期と入社時期の折り合いがつかない場合がある
退職して転職活動に専念している人と比べれば、やはり時間的な余裕は少ないといえるでしょう。
面接日の調整に苦労したり、応募書類の作成の時間が十分に取れなかったりと、色々と忙しさを感じる場面は多いはずです。
在職中に転職を進める際には、現職の仕事と転職活動にかける労力をうまくバランスを取っていく必要がありますよ。
また、求人によっては「今すぐ人手が欲しい」という会社もあり、そのような急ぎの求人では選考で不利になってしまう可能性もあるので注意しましょう。
退職後に転職活動をするメリット・デメリット
次に、退職後に転職活動をおこなうメリット・デメリットを確認していきましょう。
まずメリットの部分では、以下のようなものが挙げられます。
<退職後に転職活動をするメリット>
・転職活動に100%専念できる
・複数社の選考を同時に進めやすく、短期間で決まりやすい
・心身ともにリフレッシュした状態で転職活動に臨める
・スキルアップのための資格取得などにもチャレンジできる
・内定後、すぐに入社が可能
退職することで「転職活動に100%専念できる」というのが一番のメリットですね。
面接日の調整に苦労することもなく、書類作成や面接対策などにも十分な時間を割くことができます。
一日のなかで複数社の面接を受けることも可能で、転職活動が短期間で終わりやすいのも大きなメリットといえるでしょう。
一方で、退職後に転職活動をするデメリットとしては以下の項目が挙げられますよ。
<退職後に転職活動をするデメリット>
・収入が途切れるため、最低でも「生活費3ヶ月分」の貯金が必要
・転職先が決まらないと焦りやすい
・自己管理が甘い性格だと、自堕落な生活になりがち
・離職期間が長いと、面接官からの心証が悪くなることもある
退職すれば時間的な余裕は生まれるものの、収入面に大きな不安が出てきます。
そして転職先がなかなか決まらないと、焦りも感じやすいでしょう。職がない状況だと、どうしても「早く次を決めなければ…!」と思ってしまいますよね。
その焦りが原因で、納得のいっていない会社に決めてしまうことも。しかし、これではなんのために転職をするのかわかりません。
このような不安を少しでも取り除くためにも、転職活動が長期化することを見据えて十分な貯金をしておくことがとても大切になりますよ。
リスクを避けるなら在職中のほうがおすすめ
在職中・退職後それぞれのメリット・デメリットを見てきましたが、リスクを避けることを優先するなら在職中の転職がおすすめです。
前述のとおり、仕事を続けていれば収入は途切れないため、生活費に悩むこともありません。
そして転職先を見つけるまでに時間がかかってしまった場合でも、ブランク期間が生まれませんよね。
このように「心に余裕を持った状態で転職に臨める」ということは、結果的には面接時の印象にもつながってくる重要な部分だと考えましょう。
とはいえ、仕事を続けながら転職活動をすることがマイナスに働いてしまう場合もあるでしょう。
たとえば「ブラック企業で疲弊している」「セクハラ・パワハラを受けている」といったケースなら、退職してリフレッシュしてからのほうが良い結果に結びつきやすいですよ。
基本的には在職中の転職がおすすめですが、最終的にはご自身の状況を踏まえて判断していきましょう。
在職中に転職活動する流れと手順
ご自身で「在職中に転職しよう」という判断ができた後は、実際にどういう手順で転職活動を進めていくかを確認していきましょう。
先ほどもご説明したように、在職中の転職は時間的余裕が少ないことがほとんど。流れと手順を理解して、転職の準備を効率的に進めていくことが成功の秘訣ですよ。
在職中に転職活動する手順を大きく5つに分けると、以下のような流れになります。
<在職中に転職活動する流れと手順>
1.転職する時期を決める
2.転職エージェントや転職サイトに登録して、求人を探す
3.応募書類を提出して、面接を受ける
4.内定後、現職場に退職の意思を伝える
5.引き継ぎを完了し、新しい職場へ
そしてこのなかでも、とくにつまずきやすいポイントが次の3点です。
- 退職時期の決め方
- 求人を探す時間
- 面接日の調整
上記3つのポイントは、事前の確認や対策がどれだけできるかが重要になってきますよ。
スムーズに転職活動を進めていくために、どんな準備をしておけば良いのかを事前に確認しておきましょう。
それでは、つまずきやすいポイントを一つずつ分けて解説していきますね。
退職時期を決め方:仕事の状況と就業規則を確認する
まずは自分がどれくらいの時期に転職をしたいのか、大体の転職希望時期を決めていく必要がありますよね。
内定後にスムーズに退職するためには、現職の仕事の状況を考慮して時期を決めることが大切ですよ。
たとえば「年末年始は毎年終電になるほど忙しい」「いつも◯月に異動の発表がある」といったことがあらかじめ分かっている場合は、それも踏まえて時期を考えていきましょう。
そしてもう一点重要なのが、退職に関わる「就業規則」を確認しておくこと。
なぜなら、就業規則で「退職は3ヶ月前までに申し出ること」など定められていることもあり、ご自身の退職希望時期が認められないケースもあるからです。
法律上では「退職日の2週間前まで」に退職の意思を伝えることで退職可能となってはいますが、お勤め先との不要なトラブルはできるだけ避けたいですよね。
就業規則のなかに退職に関する定めがあるはずです。まずはその点を押さえておきましょう。
求人を探す時間:転職エージェントを活用して効率的に
在職中の転職で悩ましいのが、求人を探す時間がなかなか取れないこと。
求人を見る際には給料や勤務時間はもちろん、各種手当や年間休日数、転勤の可能性など、チェックしておきたい項目は少なくありません。
仕事で忙しい中、その作業を自分一人でおこなうのは大変なことですよね。この解決法としては転職エージェントの活用がおすすめですよ。
転職エージェントはご自身の希望職種や適性に応じた求人を、ご自身の代わりに探してくれるありがたいサービスです。
「仕事が忙しすぎて求人を見る暇がない…」という方にとって、その部分を丸投げできるのはとても助かりますよね。
さらに、求人を探してくれるだけではなく、応募書類の作成や面接対策、内定後の条件交渉まで徹底的にサポートしてくれますよ。
時間的な余裕があまりない状況だからこそ、転職エージェントを使って効率的に準備を進めていきましょう。
面接日の調整:有給を有効活用する
在職中の転職活動は、面接日の調整にも苦労するでしょう。
平日の仕事終わりの時間に面接を設定するのも一つの方法ですが、有給休暇を使って面接日を調整することも検討していきましょう。
退勤後に面接を予定していた日に、突発的に残業を命じられる可能性もゼロではありませんよね。どうしても残業が必要になれば、応募先に迷惑をかけてしまいます。
こういったリスクを避けるためにも、有給を有効活用していくのがおすすめですよ。
まずは、有給が何日分残っているのかを確認しておきましょう。
また、会社によっては「有給休暇は1週間前までに申請すること」などが定められていることもあります。この点も早めに確認しておくと良いですよ。
在職中に転職活動するときに注意すること
在職中に転職活動をする際につまずきやすいポイントのほかに、注意点も併せて確認しておきましょう。
ここでは4つの注意点をご紹介していきます。
なぜこれらに注意すべきなのかというと、どれもスムーズに・円満に退職手続きを済ませるためには欠かせないポイントだからです。
この点を甘く考えていると、退職希望時期がズレてしまったり、会社から転職を拒否されることも最悪考えられますよ。
そうならないためにも、以下4点をしっかり押さえておいてくださいね。
<在職中に転職活動するときの注意点>
・引き継ぎに必要な期間を考えておく
・転職活動は就業時間外におこなう
・職場の人に気づかれないように配慮する
・同業他社へ転職するときは「競業避止義務」に注意
最後までトラブルなく転職を進めていくために、一つ一つしっかり理解していきましょう。
それでは、一つずつ分けてご説明していきますね。
引き継ぎに必要な期間を考えておく
上の部分で「退職時期を決める際は、仕事の状況と就業規則を確認する」というご説明をしましたが、併せて「引き継ぎにかかる期間」も考えておくのが良いですよ。
退職までに有給消化を考えている場合はとくに注意しましょう。引き継ぎの期間が十分に取れていないことが原因で、それが実現できない可能性もあるからです。
引き継ぎにかかる期間は、職場内でのご自身のポジションによっても大きく変わるでしょう。
一般的に年齢が上がるにつれて引き継ぐ内容も増えていきますので、20代後半〜30代の方はとくに気をつけておく必要があります。
もちろん、「引き継ぎ資料の作成」などは仕事の一環です。業務時間外にやる必要はありませんよ。
スムーズに退職するためにも、転職の意思が固まったら、仕事の合間の時間を使いながら早めに準備を進めておきましょう。
転職活動は就業時間外におこなう
転職活動は、必ず就業時間外におこなうようにしましょう。
当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、業務時間内に転職に関することをおこなってしまい、トラブルに発展するケースは意外にも多いのです。
たとえば、「外回りの合間の時間に面接を受けに行く」などがこれにあたります。もちろん就業規則違反ですので、絶対にやってはいけません。
それ以外にも、「会社のパソコンで転職サイトを使う」「エージェントや応募先企業とのやりとりを社内メールでおこなう」などもありがちなケースですよ。
これらが発覚したときには社内で問題になることはもちろん、応募先からの評価もガタ落ちしてしまう行為であることをしっかり頭に入れておきましょう。
職場の人に気づかれないように配慮する
在職中の転職なら、職場の人に気づかれないほうが余計な気を使わずに済むでしょう。
仕事を続けながらの転職活動は比較的時間もかかります。場合によっては、転職先が決まるまでに半年程度の期間がかかることも。
その点を考えると、転職先が決まる前に職場に知られてしまうのはなるべく避けておきたいですよね。
同じ部署の人とも気まずくなるでしょうし、「転職せずに現職にとどまる」という選択肢も取りづらくなってしまうでしょう。
仲の良い同僚などには「うっかり」話してしまうことも珍しくありませんが、ギリギリまで周りには伏せておくことを強くおすすめします。
同業他社へ転職するときは「競業避止義務」に注意
会社によっては「競業避止義務」というものが定められている場合もあるので、お勤め先の会社はどうかを確認しておくのが良いでしょう。
競業避止義務とは、自社のノウハウや内部情報をライバル企業に流出させないことを目的にした、会社独自の規則です。
たとえば、「退職後2年間は弊社と競合する製品を取り扱う会社に転職してはならない」といった内容が、就業規則や入社時の誓約書に記載されていることがありますよ。
そのことを知らずに同業他社へ転職してしまうと、「競業避止義務違反」となり思わぬトラブルを招いてしまうので注意が必要です。
しかしその一方で、日本では「職業選択の自由」が憲法で保障されているのも事実です。
当然、会社の規則よりも憲法が優先されます。万が一のときのために、この点も併せて理解しておくと良いですよ。
まとめ
本記事のポイントのまとめです。
・転職活動は「在職中」または「退職後」の2パターンがあります。それぞれメリット・デメリットがありますが、リスクを避けるなら在職中のほうがおすすめです。
・在職中の転職活動でつまづきやすいポイントは3つです。「退職時期の決め方」「求人を探す時間」「面接日の調整」
・在職中に転職活動するときの注意点は4つです。「引き継ぎ期間を考慮」「転職活動は就業時間外におこなう」「職場の人に気づかれない」「競業避止義務に注意」
在職中の転職活動なら、お金の不安なく安心して転職活動を進めていくことが可能です。
そして効率良く転職を進めていくためには、事前の準備が必要不可欠。不要なトラブルを避けるためにも、早めに就業規則を確認しておきましょう。